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振れを低減する ANCA 社の最新パーフェクト工具振れ補正機能

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ToolRoom 最新オプションで、振れの問題を解決し、工具寿命と生産性を促進

 

軸偏心量 (TIR:Total indicator runout) とは、工業の世界ではよく耳にする言葉で、特にエンドミルやドリルなど、切削工具のような回転する部品に対して頻繁に使われます。TIR は、基準となる軸を中心に回転する表面全体で測定された最大値と最小値の差です。
 

高品質で高性能な工具を生産するには、この軸偏心量を完璧もしくは最小限にすることで、確かな工具の寿命と優れた表面仕上げが可能となります。研削前のブランクの振れに関しては、一定の時間をかけて部品をしっかり固定するか、ソフトウェアを使って振れを補正する方法があります。ToolRoom ソフトウェアの最新のアップデートでは、必要に応じて、完璧な工具振れを補正するオプションが加わりました。


振れが発生すると加工部品への接触が不均等になり、でこぼこしたチップロードを作ります。その結果、上のイラストのように、負荷がかかりすぎて摩耗が早くなる溝と逆に負荷がほとんどかかることのない溝ができてしまいます。これは、加工中のエンドミルにとって理想的な状況とは言えません。振れのある工具は工具寿命が短いだけではなく、バランスが悪く、破損する傾向にあるのです。さらに、ガタガタという異音を発生させたり、スピンドルの負荷が大きくなり加工部品の仕上げに悪影響を及ぼしたりします。

逆に言えば、むらのない切れ刃ならば、より長い工具寿命とより優れた表面仕上げと高い品質の部品を作り出すことができるのです。

円周振れがエンドミルの特定の円形断面のみを管理する一方、全振れは、外径と端面を含んだエンドミルの表面全体を管理します。振れには、軸方向と半径方向のふたつがあります。半径方向の振れは、回転軸が主軸から外れている時に起こりますが、それはまだ平行な状態です。軸方向の振れは、回転軸が主軸からある程度傾いた状態、つまり回転軸はもはや主軸と平行な状態ではないことを示しています。

ANCA 社の工具研削盤では、A 軸 (ヘッドストック) を中心にブランクを回転させ、さらに Renishaw のタッチプローブを使うことで、この振れを測定します。ToolRoom の 最新アップデート RN34.1 には、オプションとして、iGrind に工具振れ測定および補正システムが含まれています。すでにある軸方向の振れ補正システムを補助するものとなっています。
 
この振れ測定および補正システムは、ブランクもしくは予備形成済みブランクに使うことができます。予備形成済みブランクとは、再研磨を必要とする工具のような、すでに切れ刃が入っている工具を指しています。端面補正システムは、工具の先端部に近いワンポイントをデジタル化することで、軸方向の振れを補正します。このような補正では、端面加工のみをサポートしています。
 
 
軸方向の振れ補正

 
全振れまたは完全補正システムでは、半径方向と軸方向の振れを測定・補正します。主に生産時に使用される機能で、工具の先端部付近とシャンクの先端部のふたつのポイントをデジタル化して行います。  そして、ユーザーは、デジタル化された結果を使って、A 軸の中心線ではなく、ブランクの中心線に研削を変えることが可能となるのです。                                                   

全振れ補正
 
エンドミルが回転している際、すべての歯が加工部品に沿って全く同じ場所を切削することが、工具の寿命とその効果を高めるには最重要となります。そのため、バッチ全体が許容範囲内に収まるよう、すべての工具を測定し、振れを補正することが可能です。

ドリルとリーマが振れると、穴を大きくしてしまいます。この振れ補正システムを使うことで、これを防ぐことができるのです。下の表は、補正検証結果です。

 
上の図の表の長さ単位は、mm です
 

補正によって振れが 1 ミクロン以下になっています
 
 
精度はブランクの品質から始まっています。大方の予想とは裏腹に、超硬ブランクは丸くまっていたり、テーパー状になっていたりすることがあります。ブランクのサイズに一切の誤差がないか、しっかり洗浄されているか、挿入部がしっかり面取りされているかの確認が重要です。上の表の精度を実現するには、ブランクの真直度が 0.001mm (0.00004”) 以内、真円度が  0.0005mm (0.00002”) 以内でなければなりません。

生産における振れの問題は、多くの精密工具メーカーにとって悩みの種となっていますが、この新しいシステムがこの悩みを解消し、ユーザーは高い品質の工具を作ることができるのです。つまり、100本目に生産する工具も1本目に生産する工具同様の品質を維持することが可能となるのです。

この新しい工具の振れ測定および補正システムは、現在、オプションとして、最新の ToolRoom のアップデートリリースナンバー RN34.1 でご利用いただけます。このシステムによって、お客様は、コレットやコレットアダプターのセットアップ時間短縮により生産性が向上し、さらに振れによる不良品をゼロにすることで廃棄量を削減することなどのメリットがあります。
 

21 5月 2021