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2023年6月
ロングドリルには、製造工程においていくつかの困難や課題があります。懸念されるのは、その細長いサイズだけではありません。工具の全長にわたって精度を確保することは、同様に難しいことです。これらのドリル拡張された性質は、多くの潜在的な問題をもたらし、慎重に対処する必要があります。
一つの課題は、工具の全長にわたって研削力を一定に制御する必要があることです。ロングドリルは、正確であるだけでなく、長い距離にわたって真直度を維持する穴を作るために設計されているため、これは非常に重要なことです。研削力によるたわみの低減が重要です。ドリルの溝加工を最短時間で行う場合、高い送り速度と力が必要です。必要な加工効率を維持しながら、たわみを最小限に抑える方法を見つけることが重要になります。
もう一つの懸念は、工具が中心軸からある角度で逸脱したときに発生する誤差を指す「振れ」です。100mmの工具の場合、標準的なな設定では5μmの振れを許容されるかもしれませんが、400mmの工具の場合、同じ設定で40μmの振れが発生する可能性があります。このような長い工具を扱う場合、工具の性能に直接影響するため、許容される振れを確保することが優先されます。
また、ロングドリルでは、クーラントホールが本体に内蔵されていることが多いです。クーラントホールを適切に機能させるために、加工プロセスにおいて機械がクーラントホールを正しく識別し、その機能を阻害する可能性のある損傷を与えないようにする必要があります。研削力を管理し、クーラントホールの完全性を維持することは、ロングドリルを使用する際の重要な考慮事項です。
工具のたわみや振れ、溝加工、クーラントホールなどの課題に対処することで、ANCAの統合ソリューションとソフトウェア機能は、正確で効率的なロングドリルを効果的に生産する包括的なアプローチを提供します。
ロングドリル製造のためのマシン ANCA「TX7」
ANCAは、製造工程を完全に垂直統合している唯一のCNC研削盤メーカーです。この統合により、設計・製造のあらゆる面でイノベーションを促進するだけでなく、ANCAが独自のソリューションで厳しい要求に迅速かつ効果的に対応することが可能になります。
TX7は、37kW (49hp)の強力な直接駆動式スピンドルにより、機械に過度の負担をかけることなく、ロングドリルの研削を効率的に行うことができます。また、広々とした作業空間と、戦略的に配置できる移動安定サポートを備えた第6軸により、最大480mmまでの工具長に対応可能です。これにより、工具のたわみをなくし、工具にかかる研削力による振動を最小限に抑えることができます。また、振れの問題にも対応し、振れ補正制御により、振れ誤差を効果的に軽減することができます。
一度のセットアップで、ドリルの最初から最後まで研磨できることが、TXプラットフォームの注目すべき利点の一つです。これにより、大量生産される工具とカスタマイズされた工具を同じ機械で手間なく製造できるようになり、製造の柔軟性が向上します。ロボットセルを搭載したTX7モデルを選択するお客様は、完全な自動生産が可能となり、運用の新たな可能性と効率性を発揮します。
ANCAのロングドリル専用ソフトウェア
ANCAは、ロングドリル製造のためのソフトウェアソリューションを複数提供しています。1つ目は、ドリルウィザードを標準機能として提供する
ToolRoomです。このウィザードは開始点として最適であり、ホイールパックの自動選択などの便利な機能も備えています。ユーザーは、シミュレーション用のブランクエディターでクーラントホールを簡単に追加・定義することができます。また、SガッシュやKランド、Cランド、バリアブルへリックスなどの高度な機能を含む多くのツール機能も搭載しています。また、ToolRoomソフトウェアには振れ補正機能があり、振れ誤差を補正するためのさらなる調整を行うことができます。
成形フルートに関しては、ANCAが
iFluteソフトウェアを提供しています。ロングドリルでは、特定のフルートフォームが必要になることがよくあり、iFluteはそのプロセスを簡素化します。DXFファイルをインポートするだけで、iFluteがホイールプロファイルと研削経路を決定してくれます。
工具研削のシミュレーションや機械の特徴を把握するために、ANCAは
CIM3Dを提供しています。実際の研削加工を行う前に、ユーザーは第6軸を含む必要なすべての機械機能をシミュレーションに追加し、セットアップと制御を決定することができます。ユーザーは必要な操作を設定するだけでなく、すべての機能の正確なシミュレーションにより、デスクから研削の最適化を行うことができます。CIM3Dには、直観的なクーラントホール干渉検出機能がシミュレーションに搭載されており、潜在的な問題を事前に特定して対処することができます。
ANCAの包括的な統合と、TXプラットフォームの高度な機能とソフトウェアと組み合わせることにより、同社は研削ソリューションの柔軟かつ機敏なプロバイダーとしての地位を築いてきました。この強力な組み合わせにより、ANCAはロングドリル製造におけるさまざまな難題に効果的に対応しています。
概要
- ANCAcreteは、ANCA独自のイノベーションで、優れた減衰特性と熱特性を備え、高い安定性を備えた堅牢なポリマーコンクリートの土台を提供し、その上に研削加工を施すことができます。
- 2ポジションホイールパックチェンジャーを標準装備し、ホイールパックを8秒以内に素早く簡単に交換できます。
- 左右対称のガントリー設計により、大型工具の高精度研削に必要な高い安定性を備えた大型TXプラットフォームを提供します。この設計では、研削スピンドルの回転中心を機械の中心線上に配置することにより、熱膨張の影響を抑えながら高い剛性を実現します。
- LinXリニアモーターはすべての直線軸を駆動し、Z軸に重力に対抗する独自のカウンターバランス設計を採用しています。
- 強力な37kwの直接駆動式スピンドルは、機械の「筋肉」であり、その比類のない強さと創造性により、優れた表面仕上げと切込み深さが実現されます。
- 第6軸（P軸）を加えることで、必要な時に必要な場所でサポートします。Arobotechのようなワークホルダを使用することで、製造中のグラインドポイントで自動移動サポートを提供します。
- プローブ計測やLaserUltraなどの計測オプションは、工具の特徴や補正のデジタル化から品質管理まで、工具製造工程の全体で活用することができます。
- ホイールフォームを指定された間隔で自動維持するための主軸台および/または二次ドレッサーをオプションとして提供します。
- TXcell自動化により、無人運転や、工具研削に投入する前に工具のクーラントホール位置を検出する独自のカメラシステムなど、よりユニークなソリューションが利用可能です。
19 6月 2023