ニュースレターを発行 2023年2月

工具製造業界では、これまでにないペースでオートメーションシステムの導入が進んでいます。この世界的なトレンドには、労働力不足や人件費の高騰、稼働時間の最大活用、年中無休での稼動促進、そしてクライアントによる希望納期の短縮のなど、さまざまな要因が絡んでいます。つまり、メーカーではこれまで以上の柔軟で素早い対応が求められるのです。

ANCA 社では、長年にわたり、さまざまなオートメーションシステムを提供してきました。この分野向けに最近発表されたのが、ANCA Integrated Manufacturing System、略してAIMSです。このAIMSは、個別モジュール式 (ブロック式) のエコシステムで、これらを組み合わせることで、独自のオートメーション工具製造システムを構築できるようになっており、そのモジュール方式と柔軟性で、中小企業から大企業まで、さまざまな要求に応じることが可能です。  ERP接続でパレットや工具を手動で運ぶ台車を使ってとてもシンプルに使うこともでき、人による介入を最小限に抑える複雑な完全オートメーション生産システムとして活用することも可能です。

完全オートメーションシステム AIMS で最も目を引く構成部品のひとつがAutoFetchです。これは、AutoSetと呼ばれる設定ステーションと工具研削盤の間でパレットを運ぶ役割を担うAMRロボットとなっています。さらに、研削盤の外での抜き取り測定を行うために1本の工具を取り出す作業も自動で行うことが可能です。非常に多くの工具を取り扱わなければならず、AutoFetchはとてもビジーになることがありますが、AIMSは、通常、既存の工場の手動操作が行われているエリア付近に配置されます。これは素晴らしい柔軟性であると同時に、どのように人の往来が激しい従来の生産工場の近くでオートメーションオペレーションシステムを機能させるのかという疑問が生まれます。

AutoFetchロボットの独自技術により、AIMSをフェンスで囲う必要はありません。工場内で使われる自動搬送車には、AGVとAMRの2種類が存在します。  このAutoFetchは、AGV (Automatic Guided Vehicle：無人搬送車) ではなく、AMR (Autonomous Mobile Robot：自律走行搬送ロボット) です。大きな違いは、それぞれが工場内を移動する方法にあります。AGV は、床に埋め込まれたラインや車輪周りの壁面に取り付けられたリフレクターのような、さまざまな誘導装置によって、事前に決められたルートを走行するのに対して、  AMR は、センサーと事前に読み込んだエリアマップを使い、自由に走行するロボットとなっています。つまり、A地点からB地点へ材料を移動させるのに追加のインフラが必要ないのです。AutoFetchをセットアップする際に関連エリアを読み込ませてマッピングして、積み込みと積み下ろしを行う場所をマークするだけで、あとはロボットが高度なアルゴリズムを駆使して、ある地点から別の地点への最適経路を見つけるのです。

AutoFetchを使った自律式移動システムとその安全性

私たちが特によく受ける質問のひとつが、AutoFetchの安全性です。つまり、このAutoFetchは工場内で作業する人と一緒に動くからこそ、その安全性に疑問が生まれるのです。しかし、このAutoFetch AMRは、人がいる工場内で安全に動作できるように設計されています。  AMRは、ステーションから別のステーションまで最適化されたルートを使って移動し、さらに予期せぬ物体がないか常に周囲をスキャンする機能が搭載されているので、  物体を検知すると、AutoFetchは停止し、物体を避けて移動します。  このため、レーザースキャナー、3Dカメラ、近接センサーなど、さまざまなセンサーが装備されているのです。さらなる安全を確保するため、マップ上にAMR進入禁止エリアを設定し、自律走行の可能性を完全に排除することも可能です。  それだけではなく、AutoFetchは、特定エリアでの走行速度を落としたり、ブザー音やクラクション、さらに録音済みの音声メッセージなどで近くのスタッフに知らせたりするようにプログラムすることができます。 

メーカーの72％が、パレットリフトやトロリー、フォークリフトなどの従来の運搬手段の使用による事故を報告しています。このAMRを使うことで、工場内の安全性を高め、疲れや集中力の欠如、知識不足などの人的要因を排除し、このような事故の減少に繋がるのです。 

皆様の工場にAIMSを導入することのメリットについては、お近くのANCA社支店までご相談ください。

 

12 1月 2023