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2023年6月
CNC マシン技術のリーダーであり続けるのに必要なのが、革新を追い求める意欲です。マシンの仕組みを進化させる方法を追求する時も、また、マシンのための革新的なソフトウェアを作り出す時も、イノベーションは常に ANCA 社が歩んできた 45 年の歴史の中心でした。
切削工具の生産にソフトウェア制御システムを用いることで、プロセスがより簡単に、より正確になりました。そして今、私たちはマシンを改良する方法を探し続けています。
ソフトウェア制御システムの大きな利点は、エフェクタのオフセットと ANCA 社の特許であるソフト軸システムです。では、それぞれについて見ていきましょう。
エフェクタがエフェクトをオフセット
まず、エフェクタについてです。この用語はロボット工学から来ており、エンドエフェクタとはロボットなどのアームの先端に取り付けられており、環境と相互作用するように設計された装置のことを指しています。その先端のデバイスに関しては、何かを掴むためのジョーであったり、何かを貫通させるための針であったり、何かを保持するためのバキューム装置など、そのロボットの目的に応じて異なります。
CNC マシン加工において、当社では、マシンに搭載されている切削ホイールを指す言葉として使っています。ご存知のように、切削ホイールにはさまざまな大きさがあります。そのため、工具に沿ってスピンドルが動くようにプログラミングするとき、切削ホイールのサイズと長さを考慮する必要があります。このエフェクタオフセットとは、スピンドルの中心から実際に切削を行うホイールの端の研削点までの距離を示す空間上の点のことです。マシンは、切削工具の直径と長さを認識して、プログラムされたパスをたどるときにそれを補正する必要があります。このすべてを ANCA 社のソフトウェアが処理するので、オペレーターは複雑な計算をする必要がありません。
オペレーターにとってのもう一つのメリットは、マシンの位置表示にもこのエフェクタポイントが使われているため、プログラムされた位置と実際の位置が同じ参照フレームに入ることです。この「見た通り」のアプローチこそが、作業をより簡単にしてくれるのです。
つまり、知っておかなければいけないことは、切削したい場所を工具が切削するために制御システムがすべてを管理してくれるという事実だけです。
ソフト軸の発明
ソフト軸の導入は、CNC マシン技術における革命です。ソフト軸とは、複雑な軸の組み合わせをより簡単にプログラムできるようにするソフトウェア軸のことです。
ANCA 社製 CNC マシンは、9軸の能力を提供する独自マシンとなっています。物理的な 5 軸は、工具の動きに平行な X 軸、工具の動きに水平な Y 軸、垂直の Z 軸、工具を時計回りおよび反時計回りに回転させる A 軸、そしてホイールパックを時計回りおよび反時計回りに回転させる C 軸で構成されています。
そして、4つのソフト軸があります。常にホイールのエッジの周りを動くのが B 軸です。この B 軸は度数で入力し、正の値だとホイールは時計回りに、負の値だと反時計回りに移動します。常にホイールの中心方向に放射状に動くのが U 軸、ホイールの前面に対して垂直に動くのが V 軸、そして、ホイールのエッジに対して接線方向に動くのが W 軸です。
これで、工具とホイールの間の点から点への移動の際に必要な計算の回数が大幅に削減されます。ソフト B 軸を入力するだけで、ANCA 社ソフトウェアが全てのスプライン点を自ら計算し、必要なだけ移動します。
ソフト軸があるだけで、かなりのメリットを得ることができます。まず、パフォーマンスの最適化により、どんなに複雑な部品でも設計がはるかに簡単になります。
また、パス上の移動速度をよりコントロールできるため、より均一な表面仕上げが可能になり、生産部品の品質も向上します。そして、従来ならば複数回のセットアップが必要だったものが、1回で済むようになり、ミスの可能性も低くなります。
ANCA 社は、このソフト軸システム技術に関する特許を保有しています。これによって、当社のマシンを使うオペレーターは、よりフレキシブルな作業が可能となり、生産できるものの範囲を広げます。
そこにソフトは存在しないのです。
19 6月 2023