ニュースレターを発行 2020年10月

医療機器メーカー Straits Orthopaedics は、汎用性に優れた ANCA 社製 CNC 研削盤を使って、さまざまな医療機器を提供しています。
 

この数か月間でメーカーが何かを学んだとしたら、それはどんなことでも「当たり前」と思わないことではないでしょうか。   急速に変化する状況の中、どのように対応していくかが、ビジネスの繁栄と衰退の分かれ目になることがあります。   これを踏まえて、 Straits Orthopaedics 社は、医療機器と医療部品業界で柔軟な対応を可能とするメーカーを目指す戦略の一環として、ANCA 社製マシンへの投資を決めました。  

今年発の新型コロナウィルス (COVID-19) による混乱は、おそらく急速な市場の変化と不確かさの最たる例ではないでしょうか。  しかし、通常の状態に戻ったとしても、メーカーは常に警戒し、新たなチャンスをもたらしたり、ビジネスの主軸を決定づけたりする業界の変化に注意を払い、対応していく必要があります。

この業界において、ANCA 社の CNC 研削マシンの柔軟性は、長期に渡り高い評価をいただいています。  この柔軟性があるからこそ、ANCA 社マシンのユーザーは、取引先や用途に制限されずに、さまざまな用途向けの部品を製造することができるのです。  素晴らしいソフトウェアは、ユーザーがさまざまな切削工具や研削部品のプログラミングを可能にします。

 さらにマシンはモジュール設計になっており、幅広い用途が求める幾多のニーズに合わせて簡単に設定することができます。

医療業界では、複雑な形状の骨用ラスプや長いロータリーリーマ、小型デンタルドリルや切削研磨バーなどの国際生産市場を支える ANCA 社の研削盤が、メーカーに非常に優れた多様なチャンスをもたらしているのです。


マレーシアに拠点を置くStraits Orthopaedics 社は、ANCA 社の多様な能力を活用している企業のひとつです。  医療部品の委託製造ですでにその名を知られていた Straits Orthopaedics 社が最初に導入した工具研削盤が、ANCA FX5 です。  プロセス開発エンジニアの Vidyadhiraj Vidyadharan 氏は、「オーダーメイド工具は、医療器具市場で当社が大きな飛躍をとげた大きな理由となっています。  私たちは、取引先のさまざまな要求に応えて特殊工具を作り出す技術、そしてこれを迅速に行う能力が必要です。  ANCA 社の FX5 には柔軟な工具プログラミングソフトウェアが搭載されており、これらのニーズに応えることを可能にしてくれたのです。   当社のさまざまな医療用ドリル、リーマ、プレーナに対する需要は、2台目の FX5 が簡単に応えてくれました」 

ビジネスの成長に伴い、Straits Orthopaedics 社では、狙っている新市場への参入の可能性が見えてきたことから、新たな投資として TX7 Linear の導入を決定しました。お客様のさまざまな要望に応えることのできる生産能力を示すための積極的な決定でした。   特に、Straits 社は腰骨用ラスプ、そして同時により大きく長い整形外科用リーマというふたつの大きく異なる分野にチャンスをうかがっていました。   腰骨用ラスプには CAD-CAM 環境での複雑なプログラミングが必要で、チャック装置でセンター軸に固定して研削されます。  一方、整形外科用リーマは、長くて薄いので、製造中に工具が歪んだり、振動したりしないように、フレキシブルな対応を可能にする工具サポートオプションが必要となります。

TX7 に関しては、Straits 社から P 軸移動ステディオプション追加の要望がありました。  このシステムは、いずれの用途においても、工具をしっかり支えるために不可欠なものでした。  マシンの採用条件として、ANCA 社のエンジニアたちは、腰骨用ラスプに適した固定式の心押台から、長くて薄いリーマに不可欠な機能に応える移動式工具サポートに、いかに簡単に変更できるか実証する必要がありました。  
 

長い医療工具の研削に不可欠な工具サポート​

CNC dresser も Straits 社マシンパッケージに含まれていました。  医療用ステンレス鋼の研削には「粘着性」があり、ホイールを詰まらせてしまい、切れなくなってしまうのが課題でした。  そこで、ビトリファイド CBN 研削ホイールを使ってみたところ、大きな成果を出すことができたのです。  TX7 内蔵の CNC dresser によってこれらのホイールが必要に応じて再装着されるので、常に正しいホイールが使用可能となり、研削砥石の粒度がオープンになるため自由に研削できるようになったのです。

さらに、決定的なポイントとなったのがプログラミング能力です。  FX5 マシンの回転研削工具を使用した経験から、Straits 社は、まさに自分たちが求めているリーマを TX7 が叶えてくれると確信していました。  しかし、ラスプはそう上手くいきません。  複雑な 3D 部品であるため、CAD-CAM プログラミング環境が必要だったのです。  ANCA 社はこれもサポートしており、Siemens-NX 環境で動作する ANCam ソフトウェアを提供しているのです。 
 

マシンでの作業を始める前に研削工程を確認することが可能な ANCA 社の CIM3D ソフトウェア

ANCam は、 CAD-CAM プログラミング環境ではなく、マシンの操作担当者がマシンでプログラミングを調整することができるように設計されています。   さらに、ANCA 社の CIM3D ソフトウェアを使えば、プログラミング担当者は実際にマシン上で研削を始める前に研削プログラム全体を表示、確認することが可能となります。  工具の形をチェックできるだけではありません。研削ホイールが加工中の工具のぶつかる可能性を特定して、これを回避することができるのです。 

Straits Orthopaedics 社にとって重要だったのが、これらの複雑な部品製造の契約を取る際の入札の一環として、ANCA 社がラスプ設計プログラムの開発を支援することができたことだったのです。

 
Straits 社は、ANCA 社が提供するマシンと技術の多様性を最大限に活用し、将来的な発展を目指し、業界での新たなチャンスを確実につかむことができるようになったのです。
 

27 10月 2020