ニュースレターを発行 2021年5月

おそらく「ダークファクトリー」という言葉を聞いたことある人もいるでしょう。真夜中に働くロボットアームや作業員に変わって自分で考えるスマートマシン、まるで町の一角のように大きくて忙しく動く生産フロアなどのイメージを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
 
しかし、現実がそうとは限りません。これまでお話してきた通り、未来の工場はすべての人にチャンスが溢れる場所となるはずです。つまり、これが働く人にとって新たにより良い仕事を作り出し、工具メーカーには、専門的なスキルを高め、 ニッチな分野での成功のきっかけをもたらすのです。さらに、これにより、小さな工場でも、将来にわたって 競争力を維持するチャンスとなりうるのです。
 
経験豊富で高いスキルを持つマシンオペレーターの重要性が誰もが知っています。取引先に関する情報や複雑な工具の形状やデザイン、製造工程、そして市場に関する熟練オペレーターたちの知識はオートメーションシステムに取って代わるものではありません。むしろこれまで以上に強化する必要があるでしょう。
 
今日は、ダークファクトリーに関する真実をここに紹介しようと思います。
 
 
ダークファクトリーとスマートファクトリー

ダークファクトリーは、「スマート」や「消灯」工場とも呼ばれており、オペレーターがいない時間帯でも稼働させることのできる最新技術を導入した工場のことです。オートメーション化によって、メーカーは、完成品のクオリティを下げることなく、無人で昼夜を問わず所有するマシンを稼働させることが可能です。これまでは人が生産ラインの各マシンを監視しなければならなかったことを、今は設備がこれらの作業を正確に、さらに無駄を最小限に抑えて実行してくれるのです。
 
では、これらの工場から人が消えたのか。いや、そうではありません。人の居場所が変わっただけなのです。このダークファクトリーには、より賢く、快適な働き方を見つけられる人々が集まっています。ひとつの作業を繰り返し行うのではなく、より価値とやりがいのある仕事に就くことができます。人はデータを使ってシステムや工程をどのように改善していけばいいのか分析や解釈をする力があります。これはまだマシンにはできません。さらに、ビジネスの枠を超えて、競争上の優位性や今後の新技術を見極める仕事に就く人もいます。
 
つまり、実際に起こっているのは、工場のダーク化ではなく、スキルの変化です。オートメーション化によって、特殊工具をどう研削するのか (設計図の作り替え) や特定マシンの使い方を知る必要がなくなった一方で、働く人のスキルをアップさせる新たなチャンスが生まれたのです。マシンが行う正確な測定と社員のトラブル解決能力が相まってこそ、あなたの工場はこれまで以上に成果を発揮することができるのです。 

 
 
ANCA 社のお客様の声

私たちは、ダークファクトリーやスマートファクトリーがいかに有効かを実際に耳にしてきました。ここ数年、当社はスイスの工具メーカー Fraisa 社とお取引してきました。この Fraisa 社は、さまざまな棒状の超硬工具を製造しており、さらに物流、カスタマイズ工具、リサイクルなどを含めたトータルサービスを行っている家族経営企業です。当社では、研削の安定性とこれまで以上の精度を叶える新しいアプリケーションを開発しました。これにより、50 時間の無人稼働を可能にし、Fraisa 社が導入している ERP システムへの高い互換性により最高品質のタップウェアの提供と継続的な改善を実現することができたのです。
 
このカスタマイズされたオートメーションシステムにより、ANCA 社は Fraisa 社の生産コスト50％削減成功に協力することができました。しかも、その削減を実現したのは人件費ではないのです。Fraisa 社の CEO である Josef Maushart 氏によると「より高いモチベーションと素晴らしい技術を持つ従業員たちが、マシンを監視するだけではなく、より付加価値のある重要な仕事に集中できるようになった」と話しています。
 
私たちがプロジェクトに取り組む際、あらゆる面で製造を向上させることのできる新技術の開発を行います。無人での研削作業は、人為的ミスや危険が少なくより安全です。また、設計図に忠実な作業が行われるため、最初に作られる製品と全く同じ製品を次々と生産することができるのです。つまり、測定と継続的なデータ分析により、工場は必要な材料だけを発注し、お客様の要求通りのものを供給することができるようになるのです。

 
スマートファクトリー計画はすぐそこに

将来的には、今よりも効率的なシステムとより有益な情報へのアクセス、顧客とのより強い絆を通じて大きな成功を収めるため、自分の工場をオートメーション化する方もいるでしょう。まだ先のことだと思っていませんか？すでに計画を進める時がきているのです。
 
多くのマシンは、 ソフトウェアや付属品を使うことで後付けが可能で、工具設計やライブラリをほぼ同時に新しい図面に「仕込む」ことができます。現在お使いのマシンに何が利用できるか調べたり、いかにニッチな市場に特化するかを考えたりすることはすでに始まっているのです。まず、従業員は新しい工具の研削方法を学ぶ必要がなくなります。その代わり、顧客が何を求めているかしっかり把握し、それに応じて生産を調整することに時間を費やすことができます。 

スマートファクトリー、つまり全く「ダーク」ではないファクトリーを所有するということは、オートメーションシステムによって成長することを意味するのです。新しいアイデアを生み出したり、新しいプロセスを実行したり、常に最新技術を取り入れたり、顧客との絆を育んだり、人が介在する余地はまだまだあります。
 
ダークファクトリーでは、常に優れた従業員が必要となります。ロボットアームや真夜中の生産作業の傍らには、工場を明るい未来へと導くことのできるリーダーと腕利きの人材がいるはずです。
 

 
 

 

 
 

29 4月 2021