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パワーアップ: いかにして高電流と高周波の同時使用が ANCA 社の EDG を PCD 工具生産のスタンダードと導いたのか

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多結晶ダイヤモンド (PCD) 製品は、鉄以外の素材の加工において、非常に摩耗に強く、さらに寿命が長いことから、産業界で広く使われています。その均一な炭素格子構造により、ダイヤモンドは現在使用できる素材の中で最も硬く、高速、送り速度、そして長時間の研削を必要とする生産プロセスに適しています。PCD は、ダイヤモンドと鉄分子との間で化学反応が起こるので、一般的に、鉄や鋼などの鉄系素材の加工に使用されません。つまり、ダイヤモンドに含まれる炭素原子が鉄や鋼の鉄原子 (第一鉄) と反応して、鉄カーバイド (Fe3C) を作り出し、工具の刃を衰えさせてしまうのです。  とはいえ、アルミニウムや鋳鉄などのバイメタルへの適用は可能です。

PCD 工具が高い性能を発揮するのが、非鉄素材、複合素材、電子部品、木材、そして貴金属の加工分野です。
 
 
非鉄素材 ポリマーおよびそのほかの素材 貴金属
アルミニウム 複合素材 プラチナ
超硬素材 炭素繊維
チタン ガラス繊維
ニッケル セラミックス 青銅
ポリエーテル (PEEK)  
木材  
真鍮 PCB  
 
図 1:PCD 工具を使った生産が適している素材一覧
 
PCD 工具は、これらの素材の加工において、優れた摩耗と熱への耐性を発揮し、長い工具寿命を実現します。

PCD を工具に使うことは今に始まったことではありません。しかしながら、工具メーカーがより軽く、寿命の長い製品を作ろうと切磋琢磨することで、あらゆる産業で使用される軽量素材が激増していることが、PCD 工具の応用範囲の広さを高めています。家電製品や軽量化された輸送手段、そしてより効率的な発電技術などの急速な進歩に応じて、アルミニウムと複合素材を使った製品は急速な成長を続けています。 

現在、非鉄部品と PCD 工具の発展により、工具機械メーカーにはコストダウン圧力がかかっています。サイクルタイムの短縮と表面仕上げの向上により、1本あたりの生産コスト削減とエンドユーザーが求める品質と寿命の実現することで、PCD工具メーカーにとって、収益率の高いビジネスとなるのです。 

ANCA 社のお客様による高品質で低コストの工具生産の実現を可能にするため、最新の ANCA Motion SparX ジェネレータは、最新のパワーエレクトロニクスを使用して設計・構築されています。このパワーエレクトロニクスによって、高電流と高周波数を同時に作り出すためのワイドなバンドギャップジェネレータを実現することが可能となり、より高いメガアンペア/秒のナノパルスとピコパルスが可能になり、放電加工プロセスをコントロールする技術を向上することができました。そして、これらを組み合わせることで、従来のエレクトロニクスよりもはるかに高速でコントロール性能がアップした放電プロセスを実現し、ナノレベルの PCD 工具 (0.85 μm のダイヤモンド粒子を持つ エレメントシックス CMX850 と2μmの粒子を持つ CTX002など) から非常に大きなダイヤモンド粒子 (25 μm の粒子の CTH025 と 2 μm から 30 μm の粒子のマルチモーダルPCDであるCTM302) までを使用した PCD 工具の完全生産が可能となるのです。

さらに、回転式銅電極を用いた 5 軸加工マシン ANCA EDG は、複雑な端面やフルート形状をはじめ、あらゆる工具形状を作り出すことができます。これが非常に積極的な値下げ戦略と優れた柔軟性を持つ性能を伴うことで、工具メーカーは、高品質のPCD工具を優位な形で生産することができます。  さらに、性能を向上させて、サイクルタイムを短縮し、表面仕上げの質を高めたことで、ユーザーは、最先端の放電加工マシンを購入することができるようになったのです。ANCA 社は、同期性があり、融通性が高く、知能を持ち、無限に広がる非鉄素材に最適な放電加工プロセスを管理できる市場で唯一の EDG 放電加工マシンサプライヤーです。

これらのメリットを明らかにするために、ANCA 社では、ANCA 社の EDG で作成した工具と他社のレーザー加工機で作成した工具、そして他社の放電加工機で作成した工具を使って、テストを実施しました。  このテストでは、レーザーアブレーションシステムでは大きなフルートのある工具を作ることができないので、12 mm の 2D せん断ろう付け工具 (中性的なすくい面) を使っており、PCD 素材には、エレメントシックスの CTM302 が使われています。

このテストにおいて、ANCA 社の EDG がレーザーを使って作成された工具の品質とサイクルタイムに匹敵するというだけでなく、同等の放電加工機よりもはるかに優れていることが明らかになりました。


図 2:レーザー加工機と放電加工機の比較テストに使用された工具
 
  他社レーザー加工機 他社放電加工機 ANCA社の EDG
設定 - Standard Finish Standard Finish
表面仕上げ (µm Ra) 0.200 0.400 0.200
サイクルタイム 26分24秒 56分00秒 26分20秒
エッジのコーナーラジアス (µm) 9.45 6.25 3.22
 
図 3:複数のテストで測定された比較データ

さらに、ANCA 社のマシンで作成した工具は、レーザー加工機で作成された工具よりも3倍刃先が鋭くなっていました。刃先の鋭さは、アルミニウムや複合素材の加工において、バリの発生を減らして、表面仕上げを向上させるため、非常に大切な要素となっています。さらに、複合素材においては、刃先が鋭いことで、加工中に剥離するリスクも低減します。
 
      
 
図 4:右:ANCA 社 EDG で作られた刃先で、刃先が鋭くなっていることが分かる。
図 5:左:レーザーアブレーション加工された工具の刃先で、刃先が大きく丸くなっていることが分かる。
 
このテストによって、新しい ANCA Motion SparX 放電ジェネレータを搭載した ANCA 社の EDG が、あらゆる PCD とさまざまな産業に適しているということだけではなく、高電流と高周波のパワーエレクトロニクス技術を利用する放電加工プロセスが、従来の放電加工技術やレーザー加工技術としても遜色のないものであることが分かりました。

14 10月 2021