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ANCA Motion SparX侵食ジェネレーターを備えたANCAの新しいEDGは、PCDツールのサイクルタイムを最大50%短縮します

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兎がどの様に知恵でキツネを負かしたのか:

ANCA は明確なミッションを持って、Precorp社(現在はSandvik-Coromantグループの一員)とコラボレーションを行い、2011年にANCA EDG(放電加工研削)マシーンを製造しました。 両社は、クラス最高の工具形状を作成できるだけでなく、市場をリードするサイクルタイムを実現可能にした高性能のロータリー放電研削加工(EDM)プラットフォームを作成したいと考えていました。

それはANCAの設立者であり、常務理事を務めるPat Boland氏の新構想で、彼は現在の競争相手に打ち勝つためには、力よりも頭脳が必要であることを迅速に把握しました。「エロ―ジョンプロセスはその複雑さの中にシンプルを持っています。プロセスの基本は、電解質を備えた正極と負極を使用して、マテリアルに沿って火花を発生させます。ANCAは世界最高レベルの超硬工具とHSS工具の製造において45年の歴史を誇り、PCD工具のスキルセットを用いることを望みました。」とPat氏は述べています。

ANCA EDGマシーンの背後にある主な要因は、全タイプのろう付けせん断溝入り工具が簡単に作成できる様に単純であると同時に、無限の種類のらせん状のソリッドー付刃工具、縞状工具、シェブロン工具を作成できるほど複雑であらなばならない必要性です。Pat氏は更に「お客様が製造に求めている工具刃形はとても複雑で、当社は正確なエロ―ジョンギャップ距離を維持しながらの5軸補間という複雑さに挑まなければならないと直ぐに認識しました。」と続けました。

メルボルン大学の電気工学の修士号を持つBoland氏がメルボルンのRMIT大学のドアをノックした時、電気工学の博士論文提出志願者であった、現在のKotler Tee博士に紹介されました。Tee博士は有力な推薦を受けており、EDGエロ―ジョンプロセスの作成と展開を率いるためにANCA社に直ぐに採用されました。Boland氏とTee氏は共にアイディアを体系化し、今日の市場では最先端技術と言えるエロ―ジョンプロセスの作成に挑みました。    
 
ステップ1IACで最適な放電加工ギャップを維持する

最初に取り組んだ課題は、単純な2Dパスと複雑な3Dパスの両方の補間で最適な放電加工ギャップを維持することでした。「侵食プロセス中に、最適な放電加工ギャップを維持することは高い効率の作動プロセスにとって基本的なことです。これは回転2Dパス補間では非常に簡単です。しかし同時に移動する4軸または5軸がかかわる3Dパス補間では、表面積と体積とパスの変更が難しい課題となります。」とTee博士は語ります。「私たちのテストから、有用なスパークギャップ距離を維持するためのスタンダードは、単に機械の送り速度を許容可能な最低値に設定することだとわかりました。 ただし、これにより多くのエアタイムが発生し、送り速度が大幅に低下します。」送り速度を高く保ちながら、最適な放電加工ギャップを維持するために、Intelligent Adaptative Control(IAC)のアイディアが誕生しました。

Intelligent Adaptative Control(IAC)の特徴は、インタイムのサーボ制御であり、プロセス中のエロージョンギャップ距離を自動的に監視および制御します。ANCA Motion AMD5x制御システムの EtherCAT機能を利用して、IACはマシーンの動きをジェネレーターパフォーマンスに同期させます。IACは最適な放電加工ギャップ距離を調整および維持し、これはPCDフルートやドリルの溝、エンドミルの様な3次元形状の侵食に非常に重要です。一度に最大5軸まで形状が変化するため、IACはギャップ距離と機械の送り速度を自動的に調整して、侵食速度と表面仕上げを最適化します。これには侵食が線形パスに沿って行われている場合の送り速度の高速化だけでなく、パスの変更が発生した場合の送り速度の減速も含まれています。

「計画されたエロージョンパスに沿って、ねじったり回転させたりすると、電極輪がツールに密着したり、ツールから外れたりする可能性が出現します。故に、曲線に沿った最適または悪い放電、もしくは放電されなかった場合が生じます。」とTee博士は付け加えます。IACはこれを自動的に考慮し、全ての変更可能なパスの長さに沿って可能な最速の送り速度を維持します。 その結果自動的に送り速度の増加が全体的に見られ、熱損傷が最小限に抑えられ、表面仕上げの質が増し、MRR増加とサイクルタイム短縮が得られるのです。

その他のIACの利点は、PCDおよび超硬マイクロツールの製造が容易になることです。 IACは最適な距離を維持するため、輪が衝突して工具が破損する可能性は非常に低くなります。これは0.5mm未満の工具侵食に非常に重要なことです。

ステップ2ASCを使用して侵食プロセスを最適化する

次の課題は、侵食プロセスを容易にするために最適な火花を作り出すことでした。電流、電圧、持続時間、タイムオフ、これらによる火花の強さは侵食される材質に基づいて変化させます。つまり、PCDには、超硬(HM)や高速度鋼(HSS)とは対照的に、特定のパラメーターが必要になるのです。PCDウェーハは一般的に1mmの超硬バッキングを備えた0.6mm PCDです。焼結PCD もまた、Precorp社-Sandvik社の「縞模様」プロセスやシェブロンツールとソリッド-付刃工具と同様に超硬バッキング上に形成されます。荒加工などの激しい侵食の場合、銅の電極輪はPCD-超硬ボーダーに沿って侵食されます。PCD用に最適化された侵食パラメーターは、超硬バッキングを過剰侵食してしまう可能性があります。これはPCDの下の超硬を選択的に侵食するため、「アンダーカット」と呼ばれるPCD超硬ボーダーで過剰侵食を発生させます。更にPCDバインダーであるコバルトが優先的に侵食されてPCDゲインが露出したままになる、「コバルトリーチング」につながる可能性があります。
 
これは、舗装された道の基盤の下を掘るのに似ています。 道の下からマテリアルを掘りすぎると、最終的に道が崩壊してしまいます。機械テストでは、激しい荒加工中にアンダーカットが露出しコバルトリーチングが起こると、刃先に沿ってボーダーがもろくなり、工具が早期に摩耗することがわかりました。 これを回避し、侵食プロセスを最適化するために、Adaptive Spark Control(ASC)が作成されました。

 


シンプルでとても複雑なPCDツール。強固な先端のPCDドリル

ASCは、ジェネレーター自体にDSP(Digital Signal Processors)およびFPGA(Field Programmable Gate Arrays)と共に超高速EtherCATサーボシステムを使用しています。 EDG侵食ジェネレーターは、全ての火花をリアルタイムで監視および処理できます。 各スパークの波形は自動的に監視され、侵食されるマテリアル、侵食ギャップ距離、および最適な侵食プロセスに不可欠なその他の要因に基づいて分類されます。 ジェネレーターは、全ての火花のエネルギーレベル(電流、電圧、持続時間、およびタイムオフ)を、侵食される材料に合わせダイナミックに適応させることが可能です。

ASCは侵食プロセスを最適化し、コバルトリーチングを減らし、PCD超硬ボーダーのアンダーカットを減らします。 これにより、刃先がより強力になり、完成した工具が欠けにくくなります。 よって工具の寿命が延び、摩耗が減り、コスト削減が可能になります。CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)機械加工に適した工具のテストでは、工具寿命が最大60%向上することが示されました。

これらのインテリジェントエロ―ジョン制御はANCAが得た特許により保護されています。


 
0.4mmの強固な先端のPCDドリル
 

ステップ3ANCA Motion SparX エロージョン ジェネレーターでパワーエレクトロニクスの強化を図る

パズルの最後のピースは、高品質な表面加工を維持しながら、更に高い速度による激しい侵食を可能にするエレクトロニクスの最適化でした。それでANCAは、姉妹会社であるANCA Motionの専門的技術を用いました。シニア電気エンジニアのRichard Colin氏は業界をリードするAMD5xサーボプラットフォームに基づいたエロージョンジェネレーターを作成する仕事を任されました。Richard氏は高周波、高出力の電子機器に長けており、ANCA Motionで働く前には、航空業界向けの地上パワーユニット(GPU)を設計していました(今日もRichard氏はプラットアンドホイットニーの革のジャケットを着用しています)。「私はこのチャンスに飛びつきました。ワイドバンドギャップスイッチ速度に関する、クラス最高の最先端の半導体パワーエレクトロニクスに関する仕事に就く機会を待っていたのです。」
 
同等のコンポーネントと比較すると、パルスあたりのメガアンペアテクノロジーにより、ANCAのお客様は、アクセスと使用が可能な出力領域を広げることができます。ANCA Motion SparXエロージョンジェネレーターは、高エネルギー密度アブレーションにピコパルス技術を利用して、超粗加工から超微細仕上げ加工まで優れた性能を発揮します。これにより、非常に優れた制御性を持つことが出来、お客様に最適化された送り速度、最高の表面品質、及び大幅に短縮されたサイクルタイムの提供が可能になります。このパルス精度により、非常に微細な仕上げ用の超低エネルギーパルスから、マテリアルの素早い除去用の高エネルギーパルスまでの全レベルでの侵食が可能になります。


PCD侵食プロセスでは、サイクルタイムは材料除去率(MRR)に直接関係します。 ANCA Motion SparX エロ―ジョンジェネレーターは、新しい超粗加工からスーパー精密仕上げ、ウルトラ精密仕上げオペレーションを用いて、MRRの比類のない増加を実現します。これは、競合他社のマシーンと比較して、MRRの著しい増加とサイクルタイムが50%の短縮されたことを示し、おそらく市場で最も速いサイクルタイムとなるでしょう。侵食表面の質にもまた、全てのパワーモードにおいて改善が見られます。Ra < 0.1µm と Rz < 0.5 µmの研磨表面仕上げは、ピコパルス技術を使用した最新の「ウルトラ精密仕上げ」プロセスを使用すれば、簡単に実現できます。これらのオペレーションにより、最も厳しい条件に対応できる切削工具アプリケーションに必要な優れたカッティングエッジの製造が可能になります。


かつては単純なブルートフォースエレクトロニクスが支配的だった領域に、インテリジェンスを組み合わせることで、ANCAのお客様はライバル企業に勝るだけでなく、工具作成に対するよりスマートなアプローチを手に入れることが出来ます。 「当社のアプローチと競合他社のアプローチの違いは、ANCAはお客様の侵食プロセスにおいての目標に焦点を合わせていることです。 お客様から、らせん状および円形のPCDツーリング用に最適化されたプロセスが必要であるとの要望を受け、私たちはANCA Motionと緊密なコラボレーションを行い、もともとワイヤー放電加工(Wire-EDM)用に作成されたジェネレーターテクノロジーを再利用するのではなく、せん断工具だけでなく非常に複雑な形状の無限の配列に適合できる様な侵食ジェネレーターを設計しました。 私たちのアプローチは業界の常識を覆しました。 プロセスが利用可能なジオメトリーを決定するのではなく、ジオメトリーがプロセスを決定するようにさせたのです。」
 
「兎がキツネを負かしたように、我々は知恵を用いブルートフォースに勝ったのです。」Tee博士はこの様にユーモラスに語りました。
 

15 1月 2021