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研削テストの実施方法

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多くの場合、研削砥石はフル活用されていません。体系的なアプローチの欠如が一つの要因として考えられます。研削工程の効果的な主要パラメータを設定するための体系的アプローチを以下に紹介します。

通常のクリープフィード研削だけではなく、通常砥粒または超砥粒(CBN/ダイヤモンド)砥石を使用した通常工具とタップの研削にも、この方法論を適用できます。

推奨アプローチは6つの工程ステップで構成されています。主要パラメータの一部の定義には簡単な式が使用されます。

工程ステップ:
 

  1. 目標
  2. 準備
  3. 実行
  4. 評価
  5. 記録
  6. 発行


目標

まず目標を明らかにすることが大切です。例えば研削量を高めることと工程の安定性を高めるこでは、2つの目標が矛盾する場合も考えられます。以下のような目標が考えられます:

  1. 既存の問題を修正(焼け、表面仕上げ、 寸法の安定性など)
  2.  砥石の寿命を高めるなど、工程のコスト経済性の向上
  3. 高い材料除去率、つまりサイクルタイムの短縮
  4. 検証すべき新たな仕様
  5. さらに再現性のある結果


準備

タスクが既存の工程の場合、まず主要な課題を把握し記録します。これは以下を含みます:


1. 材料の除去率 Q’w つまりQ-プライム (Q’w = (vw x ae)/60 = (分速mmでの送り速度 vw x mmでの切削深度ae を60で割った数値)
2. 砥石速度 vc
3. 送り速度 v w
4. トータル研削量と切り込み量ae とパス数
5. ノズルの損傷がないことを確認、ノズルの位置の確認、記録
6. クーラント温度を測定(朝と晩)、流量を確認
7. 速度比qs 、切り込み量、同期、非同期ドレスなどのドレスパラメータ
8. 研削サイクル中の電流計をチェック。粗研削中の最高値を記録
9. 空研削時間、延長長さを確認。ヒント:実際の研削時間は多くの場合、合計サイクルタイムの20%~30%。サイクルタイムの削減には、送り速度の増加より空研削を削減することを推奨

 

超砥粒砥石とボンドタイプの砥石

クリープフィード研削の場合は砕けやすい酸化アルミニウム(Al2O3)のビトリファイド砥石を選択。タップスレッド研削の場合は単結晶Al2O3を選択します。一般砥石を使用してタップの溝研削を行う際は、セラミック砥粒のレジンボンド砥石を選択。カーバイドの切削工具はダイアモンド砥石、可能ならNaxoForce製品ラインのハイブリッドボンド、または高性能レジンボンドなどのド砥石が必要です。工具鋼の工具には、CBN砥粒のハイブリッド、ビトリファイド、またはレジンボンド砥石の順で選択します。グリットサイズを選択する際は、要求されるコーナー半径と表面仕上げに関する制限を考慮し、なるべく大きなグリットを選択しおます。グリットサイズを半分にすると同体積に8倍のグリットを収容可能、または同コンタクトエリアに4倍のグリットが可能であることを忘れずに。これで摩擦が増大しクーラント流が減少します。

サイクルの実行前、オペレーターに、これまで体験した以下の主な問題について尋ねましょう。

1. 砥石の形状に影響がある、またはあったか
2. 焼けまたはびびりがあったか
3. 工程は安定しているか
4. クーラントの供給は安定してるか。一つのシフト全体に同レベルであるか
5. しっかりと固定しているか?振動が発生しているか
6. 形状が常に安定しているか

 

実行

ビトリファイド砥石を使用する場合、砥石を取り付ける前にリングを着用!金属フランジ
とビトリファイド研削砥石の間にプラスチック製ブロッターを使用。トルクレンチを使ってフランジねじを締めます。その他のトルク値が示されなければ、誘発多孔質砥石の場合30Nmを使用します。金属製の超砥粒ホイールでは、プラスチック製フランジでもトルクレンチは不要です。

特定の砥石の既存パラメータが妥当であると判断した場合、新しい仕様の砥石にも、それらのパラメータを使用し、その結果を比較します。

今、ビトリファイド砥石のテストをしており、そのテストに数時間しかかけられないと想定した場合、新規砥石と使用済みの砥石直径の中間にテスト砥石の直径を設定することを検討します。新しい砥石では著しい結果が出ますが、直径が減ると共に性能も低下します。直径100mmは砥石の周囲長が314mmとなり、少量の研磨粒子で同じ量を加工することとなります。

 

ドレッシングパラメータ

過去のデータの存在しない新たな研削工程があるとします。マシン上のドレッサーでロータリーダイヤモンドロールを使用できる工程であれば、まず速度比qd 0.8で、ダイアモンドロールの切り込み量adを一般砥石では、回転毎0.5 µm~1 µmに設定し、同方向回転でドレスし始めます。CBNを使用する場合は、回転毎切り込み量を0.2 µmに下げます。NaxosForceボンド製品群にはドレス可能のダイアモンド砥石が用意されています。 

 

 

 

同一方向回転と逆回転ドレッシング

成形ドレスロールは、研削砥石上に目的のプロファイルを得るために必要な半径(r)を外周にもち、マシンの2軸を使用してドレスを行います。この場合、4 ~ 6 udの重複比を実現する送り速度vd を選択します。重複udが少ないほど、研削砥石のアグレッシブ度とフリーカット度が増します。この記事の最後に横送り速度vdの式がありますが、 横送り速度vdは砥石RPM(ns)とロール半径(r)に左右されます。 

 

 

フォームドレスロールの送り速度vd 
 

研削パラメータ

送り速度vw を設定する場合、砥石の秒速mm幅(mm3/mm/sec)毎に除去される材料の体積(mm3)による特定の材料率Q’w (Qプライム)を使用します。Q’w = (送り速度 vw x 切削深度 ae) / 60。 出発点として以下の数値が参考になります。

  • 焼入れ鋼のクリープフィード研削: 5~10mm/mm/s
  • 航空機用ニッケル合金のクリープフィード研削: 10 ~ 20 mm3/mm/s
  • レジンボンド砥石を使用してタップの溝研削を行う際: 10 ~ 20mm3/mm/s
  • ムクの超硬工具の溝研削: 6 ~ 12 mm3/mm/s


これらの数値は、工作機��の剛性やワークピースのジグ強度、また被削材の硬さと粒子構造に左右されます。

できれば、ダウンカット研削で加工することをお勧めします。これにより、研削負荷が少なくできるため、ワークピースの焼けとたわみのリスクを少なくできます。研削工程によっては、パス数はできるだけ少なくした方が良いです。サイクルタイムを短縮するには、送り速度を上げるよりパス数を減らすほうが賢明です。しかし、サイクルタイム短縮が目的で、切り込み深さの大きくするか、送り速度を上げるかのどちらかを選択しなければならない場合は、研削砥石がアグレッシブで、フリーカットを可能にする送り速度を大きくすることをお勧めします。

 

評価

一般砥粒砥石を使用する際には、特定の工程に多くの変更を加える前に、現状の工程をしばらく実行させます。理想的には、1枚の研削砥石の寿命がくるまで実行します。
 

さらに、1回のテストにおいて1パラメータのみを変更し、変化の観察と評価を行って再調整するのが、良いエンジニアリングであることもお忘れなく。

形状精度、バリの形成や異常研削(焼け)などをチェックするため加工物を計測します。不要なパスはすでに無くしたので、さらにサイクルタイムを短縮するには、送り速度を大きくします。砥石の消費を減らすには、ドレス切り込み量を減らします。例えば継続的ドレスクリープフィードの場合、回転毎の切り込み量を0.8 ミクロンから0.6 ミクロンに減らします。可能なら、砥石の破壊または焼け状態までプッシュします。この場合(特に焼けでは)一部が不良品になることもあります。 


クリープフィード研削盤の負荷読みとり

 

 
電流計の読取値が最大負荷の20%の場合、送り速度を20%ずつ増やすことは可能ですが、電流計の読取値が60%の場合は10% ずつ増やします。安定した工程が目的であることを再確認しましょう。始めは素晴らしい結果が出ても、次のシフト交代で失敗しては意味がありません。砥石の破壊、または焼けという形で限界に達した時点で、安定した工程に到達するまで送り速度を20%ずつ調整していきます。


観察の結果は? 砥石の状態は? 形状の変化は以下の一つか、いくつかの要因が考えられます:

• 砥石が柔らかすぎる
• 表面速度が低すぎる(3~5m/s ぐらいずつ徐々に増やす)
• 送り速度が高すぎる
• ドレス量が不十分
• グリットサイズが粗すぎる

 


工程結果で焼けが生じましたか?

ドレス後の砥石の粗さを確認します。砥石を完全に停止させて指先で触ってみましょう。砥石の感触が滑らかならドレスパラメータの調整が必要です。超砥粒砥石を使用している場合は、ドレッシングスティックで砥石を開く必要があります。クーラントの供給状態を確認します。ノズルの位置は正確ですか? 固定ジグによりクーラント流が切断されていませんか? 表面速度が速すぎる可能性があります。この場合、砥石の速度を3~5m/s 減らします。砥石の自生ドレス力を高めるために送り速度を早くすることも可能です。この場合は10%毎に増やします。
 

 
記録

独自の表を作成し、コンポーネントを研削する際に必要なパスそれぞれに対する、主要パラメータをリストアップしましょう。記録すべきパラメータは以下の通りです:


1. 砥石速度 vc
2. 切削深度 ad
3. 送り速度 vw
4. 材料率 Qw
5. 平均チップ厚 hm
6. 研削砥石のアグレッシブネス F
7. ドレス率 qd とドレス量 ad
8. アンペア負荷の割合%
9. サイクルタイム: t c

 


発行

得られた結果を他の作業者と共有し、次回のテスト時にもっと早く結果を得るためのデータベースを構築しましょう。
以上のような体系的アプローチを導入することで、工程の安定性と効率性を高め、現代的な研削砥石のフル活用を保証します。
 

 

式と略語

Fa (アグレッシブネス因子 (20 ~ 30))   
Q’w (Q-プライム):  
hm (平均切り粉厚):  
vd (成形ドレスロールの送り速度)  
qd (ドレス速度比)  
qs (研削速度比)  


 

  • ad = パス毎または回転毎ドレス工具の切り込み量(mm)

  • ae = パス毎切り込み量(mm)

  • ds = 研削砥石直径 (mm)
  • ns = 研削砥石回転数 RPM
  • qd = 研削砥石とドレッサーロールの速度比

  • tc = サイクルタイム(s)

  • ud = 成形ドレスロールのオーバーラップ比 (4 ~8)
  • Vc= 砥石表面速度(m/s)

  • vd= 成形ドレッサーロール送り速度(mm/min)

  • VR = ドレッサーロール表面速度(m/s)
  • vw = ワークピース送り速度(mm/min)


    著者:ウィンターツール・テクノロジー・グループ最高マーケティング責任者のウオルター・グラフ、2011年 

10 12月 2011